介護弁護士|家族の同意で行った身体拘束。後見人からの苦情にどう対応すればよい?

 

【相談】

認知症になられて当施設に入所している方が経鼻栄養補給を開始されたのですが、一日に何度もチューブを引き抜いてしまうことがありました。そこで、ご家族と相談し、身元引受人のご長男との間で承諾書も作成いただいたうえで、ベッドにおられる間だけ両手にミトンをつけさせていただくことに致しました。以降も職員が近くについているときや入眠時にはなるべくミトンを外すなど必要最小限にとどまるよう注意しながら実施し、実施の際は記録もつけています。ですがその後、このご入所者の後見人という司法書士の方から「施設の対応は違法な身体拘束ではないか」「ケアプランについての資料や身体拘束の記録を全て提出してほしい」と言われてしまいました。

当施設はどう回答すればよいでしょうか?

 

【回答】

ご相談の件での問題は実施された拘束行為それ自体ではなく、施設への窓口がまとめられていないことにあるといえるでしょう。施設としてはどうしようもない話ですが、ご家族の方と、外部の専門家である後見人との関係は必ずしも良好とは限りません。特に施設の利用開始後に家族以外の方が後見人に就任したケースでは、法定代理人である後見人名義での利用契約の再締結などがなされずに、ご家族と後見人とでどちらがご利用者の介護の方針を決定するかが曖昧になってしまっていることがあります。

そこで回答としては、まず後見人の求める資料については提供して構いません。そのうえで、後見人には「家族と協議して行った身体拘束である」「後から別の立場から違法といわれて困っている」というこちらの状況を話してご家族との連携状況を確認し、同じような混乱が起きないよう「今後は施設への窓口を一本化してもらいたい」ということを伝えるとよいでしょう。

※なお、介護の現場における身体拘束は人権擁護の観点から原則として禁止されますが、「切迫性」、「非代替性」、および「一時性」の3要件を満たす場合に限り、例外的に許されるとされています。そして、実際にある拘束行為がこれらの要件を満たすかどうか判断する際は、ご家族の方々と十分に話し合ったかどうか、拘束を回避する方法につき検討を重ねたかどうか、なども重要な考慮要素となります。ご相談の件ではご家族に相談しサインもいただいているということ、必要最小限にとどまるよう実施されたということから拘束に問題はないといえるでしょう。

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当事務所の「介護顧問」は、介護業界特有の労務問題や事故・クレーム対策、従業員の方への法的支援(EAP)、ご利用者への法的支援、といったサービスを弁護士が介護施設の顧問としてご提供するものです。利用者による暴力・暴言の対策についても、顧問弁護士による定期的な研修を開催するほか、マニュアルや利用契約書等の事業所内の規定につき必要に応じて予防法務を兼ねたご提案をさせていただくことで、大きなトラブル発生を防ぎ、従業員の定着率アップ、経営効率の向上を図ることが出来ます。

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