介護弁護士|令和3年度介護労働実態調査結果が公表されました~介護職員の離職率の変化と今後の課題~

介護業界においては人材の維持・確保(リテンション)が重要な課題となっており、そのためには現在介護の仕事に従事している方々の離職率を抑えることが一つの手段といえます。

介護職の離職率は減少が続いている

この離職率の現状について、介護労働安定センターが毎年実施している「事業所における介護労働実態調査」によれば、ピーク時(2007年)の介護職の離職率は21.6%であったのに対して2021年の数値は過去最低となる14.3%となりました。同年の厚生労働省の「雇用動向調査」によれば全産業の平均離職率は13.9%であり介護職はこれを0.4ポイントだけ上回っていることになりますが、こちらも2007年のピーク時は全産業平均(15.4%)と6.2ポイントもの差がついていたことを考えると、介護職の離職率は改善傾向にあることが分かります。

さらに、上記の介護労働実態調査と同時に行われた「介護労働者の就業実態と就業意識調査」によれば、勤務先に関する希望について「今の勤務先で働き続けたい」と回答した方が無期職員(61.0%)、有期職員(62.0%)ともに前年より上昇しており、勤続意欲が向上していることも読み取れます。

参考:公益財団法人介護労働安定センター「令和3年度 介護労働実態調査結果について」

参考:厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要」

これらの結果をもたらした背景には、昨今の働き方改革推進がもたらした労働環境の改善のほか、「介護職員等特定処遇改善加算」の創設や地域医療介護総合確保基金によるICT(情報通信技術)導入支援といった国や地方自治体の政策、およびこれを受けた各事業所での「諸手当の導入・引上げ」「一時金の支給」「基本給引上げ」といった方法での賃金の改善やパソコン・タブレット端末等ICT機器を活用して利用者情報を共有するなどの業務効率化が進んだことが考えられます。

 

人材確保のための今後の課題は?

とはいえ、事業者側の人材過不足状況に関する「大いに不足」「不足」「やや不足」の回答を合計した「不足感」は前年(60.8%)を上回っています(63.0%)。労働者側の労働条件・仕事の負担に関する悩みでも「人手が足りない」の回答(52.3%)が依然として最多であり、充分な人材確保のためにはさらなるリテンション戦略が必要な状況だといえます。

特に注目すべきは、若年者や勤続年数の少ない方をどう定着させていくか、という点です。

少子高齢化が進む中、介護職員の平均年齢は上昇を続けており、令和3年の調査結果では50.0歳、60歳以上の職員が全体の25.3%となっている一方で40歳未満の職員は21.3%にとどまっています。また、離職者の58.7%は、勤続期間が3年未満(訪問介護員、サービス提供責任者、介護職員の3職種の合計。うち1年未満は35.0%)となっています。

介護業界に限らず、「3年3割」と呼ばれる問題があります。

これは大卒の新入社員の3割が、3年以内に離職していくことをいいます(※かつては中卒7割、高卒5割という3年以内退職率と合わせて「七五三現象」という言葉もありましたが、現在では中卒で5割程度、高卒だと3~4割程度まで改善されています)。

このような若手の職員の早期離職を防ぐためには、例えば

  • 採用前に、現場の職員と顔を合わせたり実際の働きぶりを見学したりできる機会を設ける
  • 面談等を通じて個々の職員について適性やキャリアの志向を把握する

…といった方法で、働き始めてから「思っていたのと違う」「自分がやりたかった仕事ではない」と感じる機会をなるべく減らすことが求められます。

 

弁護士法人リブラ共同法律事務所の「介護顧問」

弁護士法人リブラ共同法律事務所では、弁護士による介護事業者様向けのサービスに特化した「介護顧問」を提供しております。

介護の仕事は身体的な負担はもとより、利用者らによるハラスメントやクレーム、介護事故の予防・対策に気を配らなければならない中で精神的なストレスに晒されがちです。現場の職員の方がかかえるこうした不安を少しでも取り除くことが、リテンション強化につながります。

そこで、弊所の介護顧問は、弁護士による研修をトラブル対策について職員間で情報共有が出来る体制づくりにお役立ていただけるほか、職員の方の個人的な法的問題へのサポートとしてEAP(従業員支援プログラム)をご利用いただけるものになっております。

※オンライン相談を希望される場合はZoomでの相談に対応致しますので、お問い合わせの際にその旨をお知らせください。

>>「介護顧問」による従業員の離職対策については、こちらもご覧ください。

>>EAPについてはこちらもご覧ください。

当事務所の「介護顧問」では介護施設でのトラブルや労務問題に注力する弁護士が皆様のサポートを致します。札幌市近郊で職員の方の離職についてお悩みの介護事業者様はお気軽に弁護士法人リブラ共同法律事務所までお問合せください。

>>参考:【介護顧問】介護事業者様向け顧問弁護士

>>参考:弁護士費用

 

関連ページ

介護弁護士|札幌市社会福祉協議会から研修講師のご依頼をいただきました。

介護弁護士|介護施設等の介護業界における「顧問弁護士」とは?

顧問弁護士サービスのメリット

介護顧問顧問料

EAP顧問サポートについて

介護弁護士|利用者の後見、相続対策

介護弁護士|従業員の離職を防ぎたい

介護サービス利用者による暴言・暴力、どう対処?

裁判例から見る介護事故の類型別対応策①:入浴事故

裁判例から見る介護事故の類型別対策②:徘徊事故

裁判例から見る介護事故の類型別対応策③:誤嚥事故の対処法・裁判例

札幌の介護事業お役立ちコラム

お問い合わせ

    必須法人名
    必須担当者名
    必須役職
    任意ご住所
    任意お電話番号
    必須メールアドレス
    必須お問合せ内容
    任意オンライン面談希望
    任意法律相談の希望日時
    ご確認
    ご入力の内容はこちらで宜しいでしょうか?今一度ご確認頂き、宜しければチェックを入れて送信ボタンをクリック下さい。

     

    お気軽にお問合せください。TEL:0120-661-760 相談予約受付時間 9:00~20:00(365日対応) 弁護士法人リブラ共同法律事務所(札幌弁護士会所属) お気軽にお問合せください。TEL:0120-661-760 相談予約受付時間 9:00~20:00(365日対応) 弁護士法人リブラ共同法律事務所(札幌弁護士会所属) メールでのお問い合わせ