目次
【相談】
身内で相続が発生しました。預金や不動産を相続人で分け合うために遺産分割協議書を作成することになりましたが、こちらに押す印鑑は認印でもよいのでしょうか。
【回答】
法律上、「遺産分割協議書に押す印鑑は実印でなければならない」という決まりはなく、認印が押されていても協議書としての効力はあります。
ですが、遺産分割協議書は「協議内容に同意したのが間違いなく相続人本人であること」が非常に重要な要素となる書面です。そのため、実際に不動産の相続登記(※)をするときや被相続人名義の預貯金口座の解約・払戻しをするとき、および相続税の申告のときには、法務局や金融機関、税務署の窓口では「相続人全員の実印が押された遺産分割協議書+相続人全員の印鑑証明書」を合わせて確認されます。したがって、認印を使ってしまうと事実上相続の手続が滞ってしまうおそれが非常に高いといえるので、実印での押印をお勧め致します。
※例外的に、法定相続分に従った不動産の名義変更の場合には印鑑証明書は不要です。
【補足】
実印がない場合のリスク
相続手続を担当する法務局や金融機関からすれば、求められている手続が相続人全員の同意のもとで行われていることを何らかの方法で確認しなければ、後で紛争になった際に責任を追及されかねません。だからこそ実務上「遺産分割協議書に相続人本人の実印が押されていること」が重視されるのであり、相続人が実印を押すことが出来なければ窓口で手続を拒否される可能性が高くなるわけです。
実印がない場合の対処法
そもそも実印を持っていない(印鑑登録していない)相続人がいる場合は、住民登録している市区町村に登録する印鑑と本人確認書類を持っていき、印鑑登録をしてもらう必要があります。
また、相続人が海外に在住しているケースだと日本に住所がないため印鑑登録が出来ないという問題が生じます。このような場合は、印鑑証明書に代わるものとして在住地の日本領事館等で「署名証明書」を取得する必要があります。
相続人が実印を拒む場合の解決策
「他の相続人と話をしたくない」、「遺産分割の内容に納得していない」等の理由で実印の押印を拒む相続人がいたら、遺産分割調停・審判といった法的手続に移行せざるを得なくなります。いずれの手続も相続人全員が参加することになるため、調停が成立した場合の「調停調書」や、調停が成立せず審判に移行した場合の「審判書」など、裁判所が遺産分割内容を記して発行した書面が、「印鑑証明書を付した遺産分割協議書」の代わりに相続人の同意を確認する資料として法務局や金融機関等の窓口に提出できるようになるからです。
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