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従業員の離職を防ぎたい
- 「職員がなかなか定着せず、採用してもすぐ辞めてしまう」
- 「同業他社との人材獲得競争が激しい」
- 「職員の入れ替わりが多く、長く働いてくれている人に引継ぎの負担が行ってしまう…」
人事領域においては、「人材の維持・確保」という意味での「リテンション(retention)」という用語が使われることがあります。そして、超高齢化社会にある現在、介護業界でも市場規模の拡大が続く一方で、この「リテンション」が長年の課題となっています。
介護労働安定センターが発表する「介護労働実態調査」によれば、令和元年10月1日から令和2年9月30日までの採用率は16.0%、離職率は14.9%となっています。平成28年度の同調査によれば離職率は16.7%、平成30年度では15.4%であることから改善しつつあるのですが、同調査で従業員の不足感を感じていると回答した事業所は全体の60.8%と、まだまだ人手が足りない状態自体は続いていると言わざるを得ません。
出典:令和2年度 介護労働実態調査結果について | 介護労働安定センター (kaigo-center.or.jp)
介護業界特有の離職の原因
(1)長時間労働
介護業界においては、不規則になりがちな勤務形態に加え人員不足により従業員1人に対する負荷を高めていることから、長時間労働が中々改善しないという実態があります。
長時間労働はそれ自体が従業員のメンタル不調の原因となり離職につながりかねない問題ですし、さらに残業代の支払いを巡るトラブルの原因にもなりえます。勤務先と労務上のトラブルを抱えることが従業員の方に更なるストレスを感じさせるものとなり、当該従業員だけでなく周囲の他の従業員の相次ぐ離職にもつながりかねません。
したがって、長時間労働の是正はリテンション強化のための重要な施策といえますし、従業員の勤務時間を正確に管理し、勤務時間に応じた時間外労働手当を支払えるように労務管理体制の見直しが必要です。
(2)ハラスメント・クレーム対応
介護の現場では利用者やその家族等による従業員への身体的・精神的暴力やセクシャルハラスメント等のハラスメントや理不尽なクレーム、過度な要求が問題になるケースも多いです。こういった従業員に強いストレスを抱えさせる要因を放置しているとリテンションが弱まり、離職がますます加速していくおそれがあります。これらのハラスメントや理不尽なクレームに対しては、従業員の個人的な問題ではなく、施設全体の問題として捉えて対応や対策を学ぶことが重要です。
(3)介護事故の対応の負担
介護の現場特有の重大な問題として、転倒事故、誤嚥事故によりご利用者が亡くなられたり、寝たきりの生活を余儀なくされたりするなど、深刻なトラブルを引き起こすリスクがつきまとうことがあります。介助等のサービスを直接提供する従業員はこうした事故を防ぐため常に緊張を強いられているだけでなく、万が一事故が発生してしまった場合には利用者やその家族から謝罪を求められたり、提訴されたときには裁判所での証人尋問期日に出頭したり等、大きなストレスに晒されることになります。こうしたストレスから従業員の方を守ることが、事業所のリテンション戦略の大きな柱となります。
弁護士法人リブラ共同法律事務所の「介護顧問」
(1)事前の対策が重要
ここまで述べてきたような、離職の原因となりうる問題を放置していると更なる離職率の増加につながってしまうだけでなく、退職していった従業員による口コミや施設に対するSNS等での悪評が立つことで新規の採用も困難となり、人材不足に拍車がかかってしまうおそれもあります。
また、いったん従業員の方が退職を決意してしまってからだと撤回させることは困難ですし、引き留めたくとも対応を誤ると、他の従業員にまで退職が波及することにもなりかねません。そのため、日ごろから労務管理の徹底、職員間でのハラスメントやクレーム、介護事故に対する情報共有といった対策が重要になるのです。
(2)リテンション強化のための顧問弁護士の活用
普段の業務に追われ、リテンション戦略まで手が回らない介護事業者様は顧問弁護士を活用されてはいかがでしょうか。
弁護士法人リブラ共同法律事務所では、弁護士による介護事業者様向けのサービスに特化した「介護顧問」を提供しております。
当事務所の介護顧問では、弁護士が最新の法令や裁判例を踏まえて社内規定等の改善につき継続的にサポートいたしますので、日ごろの労務管理を適切に行っていくことが可能です。また、顧問弁護士が介護現場におけるハラスメントやクレーム対応についての研修や介護事故を想定した研修を定期的に実施いたします。こうしてそれぞれの事業者様の実情を良く把握している弁護士のサポートを受けながら施設全体で情報や適切な対策を共有し、従業員が問題を抱え込まずに安心して働くことのできる環境を整えていくことで、離職の防止につなげていくことが出来ます。
(3)EAP(従業員支援プログラム)も利用可能
さらに、「介護顧問」ではEAP(従業員支援プログラム、Employee Assistance Program)を通じて、従業員の方の個人的な問題に起因するストレスにより心理的に限界を超えてしまい離職につながってしまうケースへの対策も可能です。
介護顧問におけるEAPとは、施設の負担で弁護士が法律的支援を提供するもので、従業員の皆様には初回無料で離婚、相続、債務整理のそれぞれの分野の経験を積んだ弁護士による法律相談をご利用いただけます。
例えば、従業員が離婚や相続などの家庭内での悩みを抱えていると大きなストレスを感じ、仕事への集中を欠いてしまいます。また、借金に悩んでおられる方は、日々の返済から生じるストレスを感じているだけでなく、貸主から職場に電話がかかってきたり、裁判所から給与の差押えの通知が職場に届いたりすることで、職場にいられないと思い退職に至ってしまうことがあります。こうした個人的なお悩みに対して施設を通じて弁護士が迅速に法的サービスを提供することで、従業員のストレスの原因を取り除き、これまでと変わらず業務に集中してもらうことが出来ます。さらに、EAPを施設の福利厚生としてご利用いただくことで、従業員を施設へ定着させ、離職者を減少させる効果も期待できます。
札幌市近郊で従業員の離職にお悩みの介護事業者様、弁護士による法的サポートにつきご興味のある介護事業者様は、お気軽に弁護士法人リブラ共同法律事務所までお問い合わせください。
当事務所では、介護施設のトラブル防止、解決に尽力していますので、お困りのことがございましたらご相談ください。
また、従業員の皆様にはEAP(従業員支援プログラム)を用意しておりますので、離婚や相続といった個人的なお悩みにも対応でき、施設の利用者が遺言作成や判断能力の低下による財産管理といった法律面の支援を希望される場合もお力になれます。
トラブルやお悩みがございましたらご相談ください。
【介護顧問】介護事業者様向け顧問弁護士